体力のない音楽家

バンドマンは俗に言う体力馬鹿の集まりの様なところがあって、おおよそ普通の人間か経験する事のないであろう過密労働や活動時間と共に生活をしている。

二年前までは僕もその様な感じでツアー、ツアー、遠征、ライブ、バイト、遠征の様な変な活動をしていた。

そのうち実入りと貴賎の辻褄が合わなくなって一旦止まってしまった。

出来るだけ食事を摂らなかったり、出来るだけ電車を使わなかったりして凌いだり今思うと阿保だなあ。

久しぶりに帰ってきた家にはいつもの空気が漂っていて、なんとなく幸福を感じた。

一緒にいたい人や叫びたい人、よくわからん感情に左右されてもなんとか、なんとか人を傷つける事無く生きていきたいよなあ。

なんにも言えなくて辛いって言ったら、それじゃ自分が辛くなるんだから言わなきゃって人は言う。けれどそれで誰か傷付けちゃったら寝覚めは悪いと思うんだ。もう、それだけでなんとなく心臓はぞわぞわする。

今日も電車賃を浮かすために歩いた。

明日の朝も多分、モンスターを買って駅まで歩く。